新しい学術集会の形を目指して ~学会の挑戦~ 第一回日本遺伝学会編

第一回 日本遺伝学会編

 3月以降の新型コロナウイルスの影響で、研究発表会が大打撃をうけています。夏までの学術集会は、こちらに入っている情報の限りでは、オンサイト(現地開催)は全て中止、あるいはオンライン等での開催に変更されています。準備に携われておられる方々には、前代未聞の事態にご苦労が多かったこととお察しいたします。依然感染拡大の心配のある中で、学会の準備期間などを考えると仕方がない選択だったと思います。
 問題は今後です。5月25日に全国で緊急事態宣言が解除され、様々な社会活動が徐々に再開しています。小・中・高校も始まり、街にも活気が戻ってきました。規制解除のロードマップによると、順調にいけば8月以降は大規模イベントや海外との行き来も大方解禁になるようです。
 さて、この流れで考えたら、秋以降の学会も通常通りの現地(オンサイト)開催ということになるのでしょうが、実情はそう簡単ではありません。その理由として「第2波が起きるかも」、「現地開催で果たして参加者は集まるのだろうか」「会場でクラスターが発生したらどうしよう」など、安全に対する心配があります。結局のところ、秋以降も多くの学会で未経験の「オンライン」開催を検討しています。もちろんオンラインでの開催もいいところはあります。私が特に好きなのはバリアフリーな点です。例えば体調に自信がない場合でも無理をせず、自宅から参加できます。これはコロナ禍では重要なことです。また海外からも移動のストレスなく参加できます。録画などを利用して必要な情報を効率的に得るのも可能です。スライドもプロジェクターで見るより、細かく見えるかもしれません。質問はチャット機能をうまく使えば誤解なくやりとりできます。国際学会などは助かりますね。
 ただ欠点というか、未知の点もあって、例えば共同研究を始めるための「ネットワーク作り」や「新たな人や研究との出会い」、「ライブによる一体感」のようなリアルな交流体験による楽しさ、興奮、躍動感みたいなものは難しいところもあるのかもしれません。またオンライン発表を長時間パソコンで視聴することの身体的な課題もあるかもしれません(結構疲れます)。

 それではコロナ禍においても、今まで以上に主催者、参加者共に楽しく安心して情報交換・人的交流ができ、人材の育成、分野の発展が望めるような「新しい学術集会の形」を作るにはどうしたらいいのでしょうか?これまで慣れ親しんできたやり方を変更するのは大変ですが、何かを失うのではなく、「新たに得る」仕組みを構築できれば素晴らしいですね。

 つきましては本リレーエッセイサイトでは、「新しい学会開催の形を目指して~学会の挑戦~」と題して、数回に渡って情報の共有を図りたいと思います。今年度は、突然の事態ということでオンライン、オンサイトのどちらをやるにしてご苦労が多いことと思います。どちらが正解ということではなく、安全の確保や楽しめる工夫などを共有していただければと思います。
 1回目として私が会長を務める日本遺伝学会の例をご紹介いたします。6月10日現在の情報です。最新情報は大会HP http://gsj92.com 等をご覧ください。

 会期は2020年9月16-18日、開催地は熊本で、県の会議施設を利用しての現地開催を予定しています。大会委員長は熊本大の荒木喜美先生です。開催規模は通常300名程度(5会場)で、それほど大きくないので、必要な安全対策は取れると考えています。ただ希望者にはオンライン(Zoom)でのライブ参加ができるように準備を進めています。オンサイトとオンライン参加者を合わせて、例年の参加人数くらいになればいいなと考えております。実は今回は日本遺伝学会の100周年記念大会となっており、外国からも多くの研究者をお呼びする予定でしたが、見送りました。高校生などの研究施設見学(体験講座)を含めた市民公開講座 http://gsj92.com/page0104.html は、来年の3月6日に延期しました。

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生科連運営委員会より:
次回は植物学会の三村先生にお願いする予定です。

筆者:小林武彦
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